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What's up, Luke ?talk about music, opera, art, dineout, trip, movie and Mac gadget
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「キャロル」
先月のオスカー発表前ギリギリに見て来たのでだいぶ時間が経ってしまいましたが、その方がじわじわと暖かな気持ちで感想が書けると言うもの。ケイト・ブランシェットが美しいのは当たり前、この人は本当に「銀幕のスタア」なんだなぁと実感しました。たとえ無作為で切り取ったとしてもどの場面も本当に美しい映像は、彼女の圧倒的な存在感を際立たせていました。映画を見てから原作を読みましたが、製作チームの原作愛が充分だったし、衣装や小道具もいい。5年に1本くらいの割合で当たる「心の片隅に残ってて、たまに引っ張り出したくなる愛すべき小作品」リスト入り。
「オデッセイ」
原作が大変面白かった「火星の人」の映画化作品「オデッセイ」を見て来ました。マット・デイモンは「インター・ステラー」に続いて宇宙に一人で置いてけぼりになっていて、「プライベート・ライアン」のようにアメリカ政府が全力で助けるというわけです。 文章ではわかりにくかったパスファインダーやMAVの構造はやっぱり視覚でないと理解は無理でしたね。これは映画を見ることでクリアになりました。 原作はユーモアに溢れる筆致でかなりおもしろく読めたのだけど、映像でもその空気は失われず、「こんなシリアスな話なのに!」と思い直すほど、クスクス笑えるシーンが多かったです。「ゼロ・グラビティ」のような悲壮感ただよう雰囲気はなく、どちらかと言えば「アポロ13」に近いかも。マット・デイモンという役者の持つ親近感がそうさせるのかもしれません。 あちこちで言われていますが、この映画のもう一つのポイントは完璧なタイミングで流れる70年代ディスコミュージック。今後テレビで火星を扱う映像を流す時のBGMは「ホット・スタッフ」か「ハッピー・デイズ」でお願いしたい。 個人的にツボだったのが「エルロンド会議」という言葉が出て来たこと。NASAなんてみんなオタクの集まりなのね…。
「サウルの息子」
過去にいくつも作られたホロコースト映画のどれにも似ていない作品。ゾンダーコマンダー(調べましょう)のサウルが息子とおぼしき少年の遺体を見つけ、ユダヤ教式に埋葬したい(火葬はユダヤではタブー)と帆走するたった1日の物語。ほとんどのシーンでカメラは登場人物の上半身を寄りで撮影しており、周りで起こっている悲惨な光景を観客に必要以上に印象づける事はなく、サウルを中心としたユダヤ人の囚人の動きだけを淡々と追って行く。このため見ている側は悪夢を追体験しているような気分になり、鑑賞中はずっと緊張を強いられることに。それだけに終わった時に安堵感を感じたのがわたしの正直な感想。果たしてあの遺体は本当に彼の息子だったのかは誰にもわからないし、結末に関しても様々な感じ方ができると思う。「人間の尊厳」「魂の解放」という使い古された言葉をぼんやりと思い浮かべながらエンドタイトルを眺めるしかなかった。2015年第68回カンヌ映画祭グランプリ受賞作品。来月発表される米アカデミー賞外国語映画賞にもノミネート。混まないうちにぜひ。
「6才のボクが、大人になるまで。」
2002年から14年の12年間をかけて断続的に同じキャストで再集結して撮り続けるという、極めてユニークな手法で制作された作品。半分ドキュメンタリーみたいなものですね。166分と言う上映時間を感じさせないのはきっと編集の上手さもあると思う。そして、これだけの尺のものを見ても「愛すべき小品」という不思議な印象を持ちました。 6才からずっと撮られてた(演じた)メイスンはもちろんだけど、母親役のP・アークエットがリアルで良かった(体型の変化とかすごい)。途中何度も「これ、映画だよね。脚本あるんだよね?」と思い出さなくちゃいけないほどの日常的なセリフ回しと、唐突ながらも自然に迎えるエンディングは同じ監督の「ビフォア」シリーズのファンならきっと気に入るはず。2014年の映画賞を多く受賞しているけど、オスカーはどうかな。個人的には推したい。脚本、編集賞は取ってもいいと思います。
「ゴーン・ガール」
デヴィッド・フィンチャーは隠しておきたい人間の醜い部分をさらけ出すことに長けた表現が出来る監督だな、と改めて思った作品。何を書いてもネタばれになるので詳しくは触れられないけど、人気ミステリーの映像化として成功を収めた鍵は行方不明妻エイミーを演じたロザムンド・パイクにあると思います。ほとんど無名に近い女優を起用したことによって、観客は全く先入観を持たずにストーリーに没入できるというわけ。ベン・アフレックと言えばその昔「全米母親が選ぶ『息子とルームメイトになって欲しいセレブ』『娘と結婚して欲しいセレブ』」に選ばれましたが、この輝かしい(?)栄光がここで発揮できるとは!と思うようなキャラクター。一時期の低迷が嘘の様に蘇りましたね。主演がこの二人じゃなかったら、ここまで濃密な作品にはならなかったと思います。 終映後、場内の灯が付いて席を立つと目に入るのが、周りのご夫婦やカップルのなんとも気まずい雰囲気。そんな映画でした。年内に見られて良かった。強力にオススメです。
「インターステラー」
クリストファー・ノーラン監督はきっとわたしと同じ映画体験をして育ったに違いない、と確信した作品。「インセプション」「ダークナイト3部作」でもそのセンスの良さと脚本の完成度には舌を巻いて来たのだけど、2時間45分という長尺を感じさせない推進力、完成度には改めて脱帽。 適度な置いてけぼり感も最後にはきちんとパズルの最後の一片がはめ込まれるように解決するし、そのための伏線の張り方もほれぼれするほど。ハンス・ジマーの音楽も素晴らしい。弦、木管、オルガンが作り出す音はマーラーを彷彿させる世界観。翻って宇宙空間では完全なる無音。「ゼロ・グラビティ」の無音の宇宙ともまた違うリアリティがあったと思います。 キャスティングも良かった。個人的に本当に苦手なアン・ハサウェイが初めていいと思ったし、マイケル・ケインなんて出て来るだけでほっとするし、あんなビッグ・ネームが出て来るなんて全然知らなかったし、そしてやっぱり上手いなーと思ったのがジェシカ・チェステイン。彼女は緊張感が伴う役がよく似合います。 わたしが好きな映画のオマージュと思われるシーンが満載なのだけど、特に嬉しかったのが数回に渡って回想として出て来るクーパー(マシュー・マコノヒー)の墜落シーン、「あぁ、『ライト・スタッフ』みたいな映し方と音響だな」と思ってたら、やはりそうでした。ノーラン監督は撮影前にスタッフとこの映画を鑑賞したそうです。『未知との遭遇』『2001年宇宙の旅』『ライト・スタッフ』等々、同じ道を通った人たちには感慨深いものがあるでしょう。SF映画の醍醐味を人間ドラマとうまくミックスさせた極めて現代的な作品でした。どんな世代にもおすすめできる1本です。
「大いなる沈黙へ」
3時間近くも淡々と修道院の生活を映し出す異色のドキュメンタリー映画「大いなる沈黙へ」を見て来ました。ドキュメンタリーって本来こういうものを指すんじゃないかな、と思うような作品でした。全編音楽も付けず、ナレーションもなし、ただひたすら修道士の日々の生活をカメラが追っています。時折聖書の一節が挟み込まれるだけで、余計な解説も一切なしです。後で購入したプログラムを読まないと、詳細がわからないのです。 ここまで観客を突き放した作りながらも、美しい映像を堪能し、「修道院」という非日常を垣間見ると言う稀な体験に3時間どっぷりとつかる事が出来ました。あえて時系列に編集しない手法も、映像をより効果的に見せていたと思います。 上画像にあるようなとても絵画的なシーン(フェルメールを彷彿させました)の合間に、ザラついた質感の静物画のようなシーンを織り込んだりと、現代アートの映像作品を見ているようなセンスのいいカットが続きます。 編集の技に魅せられつつも、中世そのままの修道士の生活ぶりはとても新鮮に映り、見ているうちに心が浄化されるような気分に。 最初から最後まで見事に「沈黙」に徹しており、観客の集中力も求められます。わたしが行った回のお客さんは皆さんマナーが良く、咳などの雑音もほとんど気になりませんでした。この緊張感はマーラー9番最終楽章に匹敵するほど。わたしを含め、観客の皆さんは「静謐さ」を求めにこのホールに集まったんだな、としみじみ思いました。おすすめの1本です。 * 都内は現在、神保町の岩波ホール一館だけでの上映です。平日15時の回を見るのに、14:20頃到着(前売り券購入済み)、10階がホール入口ですがその時点で8階付近まで列が伸びていました。このポジションならまだ好きな席が選べる状態です。週末はさらに混雑必至なので、早めにホールに到着する事をおすすめします。
「ブルージャスミン」
最初から最後まで見ていて非常に居心地の悪くなる作品。ウディ・アレンにずーっとネチネチと嫌味を言われてるような気分になります。この層の女性に何か恨みでも?と思うほど、ジャスミンの描き方はデフォルメされてるし、絶対幸せになれない(させない)雰囲気を保ちつつラストまで持って行くと言う潔さがすごい(褒めてます)。この作品から得た教訓はただひとつ、「がんばって働こう」ということだけ。あ、それから「いくらお気に入りのハイブランドでも、同じ人の前に出る時は複数回使い回すのはやめよう」ということだな。ここが一番痛々しいポイントだったかも。だってパーティーにも職場にも35cmバーキンを持って行くのはさすがにはばかれますよね。余談ですが白いシャネルのジャケットはこの映画のために特別にオーダーした物らしいです。 (ジャスミンが着用したファッションブランドはこちらのサイトに詳しく。) いい意味で非常に後味の悪い、ウディ・アレンらしい作品となっていました。ケイト・ブランシェット様は大好演。素晴らしい。
「アナと雪の女王」
ディズニーの予定調和的なハッピーエンディングが苦手なのだけど、この作品は斬新でした。ディズニー映画史上初の「Wプリンセス」を登場させ、お約束の「王子さまのキス」は何の解決にもならない、という衝撃。挙げ句の果てに「伴侶としての男なんていらない。ちょっと変わり者だけど、血のつながった姉妹で楽しく生きて行く」というエンディング。やるな、ディズニー!と感心しながらも、つい自分の立場とシンクロさせてしまいました。わたしは長女なので、城から逃げ出し、自分の「力」をもう隠すことはない、これからは自由に生きる!と「Let it Go」を歌うエルサの気持ちは痛い程わかったし、それでも家族(アナ)をとても大事に思う気持ちも充分に伝わって来て、ちょっと身に沁みました。 いつまでも女の子の夢を綺麗に描くだけじゃない、という点も世界中で大ヒットした理由なんじゃないかな。 CGアニメーションとしての技術はもう行き着く所まで行ってしまった感があるので、文句なし。雪や氷の質感、トナカイの毛並みなどは実写と見まごう程だし、むしろこれは実写では作れない作品なんだな、ということがよくわかりました。(ブロードウェイ舞台化されるらしいけど、氷の城をどう作り上げるのか、興味津々です) キャラクターも魅力的に作り上げていると思います。男性キャラはもうちょっと綺麗な顔立ちでも…と思わなくもなかったけど。まぁ、この作品では男性キャラは添え物ということで。雪だるまのオラフもトナカイのスヴェンもいい味出しているのだけど(この手のコメディリリーフの動物?キャラがWというのも珍しい?)、個人的にはトロールが苦手。長老だけでいいじゃん、と思いました。「ジェダイの帰還」のイウォークを思い出したわ…。 わたしが見たのは3D字幕版だったので、クリップでさんざん見ていたイディナ・メンゼルの歌声もようやく大きなスクリーンで楽しめたし、クリスティン・ベル(「ゴシップ・ガール」の声だった人)のコケティッシュな声の演技も堪能できました。ミュージカル・アニメというだけあって、歌の比重も大きいのだけど、セリフから歌への移行がとても自然で違和感がなかったのも良かったですね。 平日昼間の鑑賞でしたが、男性が一人で見に来ていたり、お客さんの層も広く、久々に「ヒットしている映画」の空気を実感しました。好評な日本語吹き替え版も気になるので、BDが発売されたら買ってみようと思います。
「ハンナ・アーレント」
第2次世界大戦中のナチスドイツの蛮行については、加害者と被害者両方の立場から様々な作品によって語られて来たけれど、ハンナ・アーレントはユダヤ人でありながら、その両方から非難された存在。「ニューヨーカー」誌に掲載されたアイヒマン裁判の傍聴記は当時大きなセンセーションを起こし、ついには教職を追われることになる。映画ラスト近く、おそらく一番の見所はこの最後の講義のシーンだろう。熱狂的な拍手で送る教え子たちと対比して、怒りを込めて席を立つ大学関係者、そして絶交を言い渡す長年の親友。彼女が名づけた「悪の凡庸」という言葉は「思考することを放棄した人間はモラルまで失う。それによってごく平凡な人間が残虐行為に走る」と学生に語り、「わたしが望むのは、思考することによって人間が強くなること」と締めくくる。簡潔かつ真理を突いた言葉だ。 なんとなく不穏な空気が漂う現代だからこそ「思考するということ」の大切さを教えてくれた作品。今後もあちこちで細々と公開予定なのでぜひ。劇場情報はこちら。
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