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DON CARLOS

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ヴェルディの「ドン・カルロス」はイタリア語版なら以前来日したミラノ・スカラ座公演で鑑賞した経験があり、名曲揃いの好きな作品です。フランス語、しかも5幕版、おまけに”あの”コンヴィチュニー演出と聞き正直ちょっとひるんだのですが、何ごとも経験!タイトルロールは昨年のMET来日公演でカウフマンの穴を埋めたヨンフン・リーというのも興味がありましたし。

始まってみると演出、そんなに悪くないじゃない?このくらいなら全然ありえる!という程度の物。真っ白い壁の数カ所が隠し扉のようになっていて、そこからキャストが出入りするという装置だって背景に溶け込んでてむしろ機能的。衣装だって全然悪くない、普通よね。
歌い出しのヨンフン・リーのフランス語が素人耳にも少々心もとない感じはあったものの、曲が進むに連れてそれも気にならなくなったし、熱唱ぶりに心動かされました。あの有名なロドリーゴとの二重唱「我らの魂に友情と希望を」も素晴らしかった!が、ここで最初の「?」が。カルロスとロドリーゴが地面に這いつくばって歌うんです。。。えー、ここはやっぱりしっかり踏ん張ってかっこ良く歌って欲しいー!と思いながらも、素晴らしい出来だったので拍手。

とまぁ、ここまでは良かったのだけど、あっけにとられたのが「エボリの夢」と題されたインテルメッツォ(バレエ)のシーン。ここで完全に不意打ちを喰らいました。舞台がいきなりソープオペラの様を呈して、キャストも60年代風の衣装を身にまとい、小芝居と言うか寸劇を演じるのですよ。エボリとの結婚生活を描いているわけですが、これがなんだか見ている方がだんだんツラくなって来るような雰囲気でして、ヘンに舞台が良く見える席だけに居心地が悪かったです。会場からは当然激しいBooが。こんなにすごいBooは初めて聴いたかも。しかしそれを打ち消す様な「ブラボー!」の声もあちこちから聞こえました。わたしの隣りのマダムもムキになってブラボー飛ばしてたな。まぁ、初演から数年以上経っているのだから、今さらBooもないんですけどね。わたしも度肝を抜かれましたが、この先のオペラ鑑賞でこれより驚くことはもうそんなにないかもなぁ、といい経験をさせてもらったと思ってます。

ここで再び休憩。ホワイエでは何やらTV中継のようなことをやっているのを横目でチラチラ見ながらおしゃべりしていると開演を知らせるブザーが。いそいそと席に戻ると、会場内はまだ半分もお客さんが戻っていません。しかし指揮者はさっさとオケピに入り、客電も落ちていないガラガラの客席を無視してタクトを振り始めました。「ええ?」と思っていると、平土間中央のドアから国王とエリザベートが入場!後ろからは中継のカメラマンやパパラッツィたち、そしてさっきの中継レポーターが!その模様は舞台上の大きなモニターに映し出されています。あぁーー、やられた!さっきのはこれだったのか!だから他のお客さんは席に戻らずに外で待ってたのねー。休憩時間もしっかり演出に組み込まれていました。。。

と、演出に驚きっぱなしのわたしでしたが、ドン・カルロはやっぱりいい作品ですね。今回本当に実感しました。ヨンフン・リーの歌唱は想像以上に良くて、昨年のMETでも聴いておくべきだったと後悔しきり。前述した通り、冒頭はちょっとアレでしたが、その後すぐに調子が上がり、ラストまでペースもパワーも落ちることなく美しい伸びのある高音を聴かせてくれました。ホントにブラボーですよ。彼はスタイルもいいので、王子姿が似合うんです。アジア系で立ち姿も美しい歌手は希少だと思うので、この先も色々な役柄でレパートリーを広げられそうな逸材です。例の寸劇だって一生懸命コミカルに演じてて、表情もとってもいい。HDにも対応できますね。これからちゃんとフォローして行こうと思います。

昔からけっこう好きだったテジエ、上に載せたキャスト表プロフ写真が「いつの??」と思うほど古いものなので、舞台に出て来た姿を見て初めて「あれ?これテジエじゃん」とキャスト表の名前を確認する始末。でも安定の深みのある声でものすごい安心感。カルロス王子との息もピッタリでしたね。

エボリ役のウリア=モンゾン、この人も素晴らしかった。「この美しさが呪わしい」と自分で歌っちゃって何の違和感もないエボリを初めて見ました。

夕方5時半に始まって終演が10時半とたっぷり5時間のオペラですが、「疲れた〜」という感覚はそんなになく、むしろ「いい(珍しい)モノ見せていただきました!」という満足感で一杯でした。演出に賛否両論という噂はずっと聞いていたけど、やっぱり自分の目で確かめることって大事。個人的には「思ったより悪くない」と思ったし、ドン・カルロって演出家としていじりたくなる題材だよね、ということも改めて認識しました。ただ昔ながらのオーソドックスな奇をてらわない演出で、この最高の歌唱に没頭したかったな、ともたしかに思いました。でも何ごとも経験!これだからオペラ通いはやめられないわけですね。

さて終演後、わたしとnさんが向かったのはもちろんバックステージです。
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ファンに囲まれるヨンフン・リー。すごくいい人。わたしたちもサインをいただいて、nさんはツーショットで写真も撮影!「東京から来たのー」と言うと、ぱぁっと目を輝かせて「ホントに!?去年METで行ったんだよ!」「知ってます!見に行きましたー!」(行ったのはnさんだけです。ごめんなさい、わたしウソをつきましたw)と年甲斐もなくキャーキャーはしゃいでしまいました。「また日本に行きたいんだけど、ずっと先までスケジュールが一杯で…」と本当に申し訳なさそうに語るヨン様、待ってますよ!

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こちらはテジエ、ソファに座って即席サイン会開始しちゃいました。わたしもちゃっかりツーショット撮影成功。うふふ。

    
ブルーのがヨン様、敬虔なクリスチャンなのでJesus loves you!のメッセージを必ず書き添えているようです。下がテジエのもの。今回はオペラはこれ1本だけでしたが、素晴らしい夜だったのでこれでもう大満足です。今思い出しても本当に楽しい夜でした。
2012.05.25 Friday 23:00 | - | trackbacks(0) | 12 Paris Vienna | このエントリーを含むはてなブックマーク|