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「アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること」

1970年生まれのユダヤ人ニューヨーカーによる8編から成る短編集。タイトルはもちろんレイモンド・カーヴァーの名作「愛について語るときに我々の語ること」からで、表題作の短編は設定も非常に似ているのだけど、ここで行われるのは「もしまたホロコーストが起こったら、友人知人で誰がかくまってくれるのか?」という「アンネ・フランク・ゲーム」。これ、本当に現実でやっているのかな?と思いながらも、興味津々読み進めて行きました。最後はとっても暗示的で、映画やドラマを切り取ったかのようなシーンをイメージしちゃうほど。
この調子で次の短編に行くのかと思いきや、残り7編それぞれ違うカラーなのが大変面白かったです。ミステリーあり、ウディ・アレン調あり、ちょっとうるっとさせるお話あり、バラエティに富んだ作品群でした。
最初はテーマがテーマだけに「ユダヤ人」というワードに少々身がまえつつ読んでいたのだけど、そのうちこれは単なる「符号」にすぎず、現代アメリカの断片的スケッチと感じるようになりました。それでもたまに感じるねじれた感情や心の澱のようなものは、やはり「ユダヤ人」の内面的なものなのかも。一作ずつが短編なから哲学的でもあり、倫理も問われる深い内容です。さらっと読み流すには重いけれど、ホロコースト文学とはまた違ったユダヤ文学に触れることが出来る貴重な一冊です。
2013.06.18 Tuesday 22:49 | - | trackbacks(0) | Books | このエントリーを含むはてなブックマーク|