ラファエル前派展が絵画のオンパレードだったのに比べ、こちらはテキスタイル、建築デザイン、工芸品なども含めたこの時代の芸術を、ひとつの流れとして見せている展示でした。前者で画家たちの関係を頭に入れていたので、そんな視線で眺めると見慣れたはずのバーン=ジョーンズの絵画もまた新鮮に映ります。(《室内履きのデザイン》は素敵だった!)
もちろん再発見や初見の画家もたくさん。後半で見たビアズリーの退廃的で繊細な画風はまとめて見るのはとても刺激的でした。最後を飾ったムーアの《真夏》はその大きさはもちろん、オレンジ色とアップルグリーンという対称的な色彩の置き方にほれぼれ。
そして一番印象に残ったのがバーン=ジョーンズ作のこのブローチ。七宝細工を施した金にトルコ石、珊瑚、真珠、ルビーで象嵌したもの。非常に色彩豊かで立体的に作ってあります。これにはただただうっとりするばかり。ケースの前から離れがたくなるほどでした。
三菱一号館美術館の独特な雰囲気と相まって、この美的感覚を最初から最後までしっかり堪能することが出来ました。「唯、美しく。」のコピー通りのまさに「ひたすら美しい」展覧会です。5/6までと長い会期ですが、混雑する前に早めに鑑賞することをお薦めします。