どうやら今シーズンの新国オペラで一番売れてるらしい「トスカ」の千秋楽に行って来ました。なるほど、人気なわけだなと痛感した作品。まず演出がオーソドックスながらも重厚で美しい。そして主役3人の安定した歌唱。ここのオペラで3人ともバランスが取れてる歌唱ってけっこう珍しいんですよ。それがこの日は叶ってました。 トスカ役マリア・ホセ・シーリさんが公演期間中盤で倒れたと言うことでしたが、この日は最後まで完璧に歌い上げてくれました。彼女の声は高音でもピシッと決める所は決め、みんなが知ってる有名アリアもみんなが満足できる風に表現できる人だなぁという印象。イメージ的にスザンナ・フィリップが近いかもしれません。
カヴァラドッシ役ホルヘ・デ・レオンもスマートで正義感溢れる若き画家という雰囲気がピッタリ。声にも説得力があり、「星は光りぬ」の運命を嘆く歌唱にはこちらの胸まで痛くなるほど。
そしてスカルピアのフロンターレはさすがですね。圧倒的な存在感。ダースベイダーばりに魅力的な悪役をこなしていました。この方ひとりお芝居もずば抜けて上手い。
この3人の熱唱にそうような棒と音楽だったかと言うと、それはまた別のお話になってしまうのですが…。せっかくのプッチーニのメロドラマなのにどこか情緒に欠け、音の強弱でしかドラマを盛り上げられない、と感じてしまいました。
マリア・ホセ・シーリさんは来年4月に「アンドレア・シェニエ」でマッダレーナを歌いに再来日する予定です。こちらも見に行きたいなと思います。
2015/11/29(日)14:00
新国立劇場オペラパレス
3階 L1列