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METライブビューイング「タンホイザー」

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全編通じて見るのは初めての「タンホイザー」、5時間近くの長丁場でしたが、これがもう落涙するほどの感動作でした。わたしがあちこちで書き散らかしているご贔屓バリトンのペーター・マッテイがヴォルフラム役ということで、一時は真剣に渡米まで考えましたが、さすがに叶わずライブビューイングでの鑑賞となりました。タイトルロールのボータの印象がほとんどない位の素晴らしいヴォルフラム!思い出すだけで泣きそうになるほどです。2幕の歌合戦シーンでは一人目から「もうヴォルフラム優勝!」とわたしは心の中で喝采を上げたし、3幕「夕星の歌」には胸がぎゅーっと締め付けられました。直前のエリザベートへおずおずと「わたしではだめですか?」と問うシーンは「エリーザベト、なぜ拒む!?」と言いたくなる程。これ、マッテイじゃなかったらこんなに泣けなかったと思います。
わたしはオットー・シェンク演出のワーグナーはとても好きで、「マイスタージンガー」も最後の合唱シーンは何度見ても泣いてしまうのだけど、この「タンホイザー」もしかり。でもそれは救済されたタンホイザーとエリーザベトにではなくて、ひたすら影に徹したヴォルフラムに対して。真摯に愛に向き合い忠誠を誓う騎士なのに、それと正反対の道を行き、神の許しをも得られなかった友とその恋人を思い続けるなんて誠実な役はマッテイにしかできないと思います。ラストの美しい歌唱抜きではこの物語はここまで感動的に仕上がらなかったことでしょう。
今年の3月に幸運にもMETでマッテイ氏ご本人に会い、ちらっとお話ができたのだけど、10月もがんばって実演を見るべきでした。来シーズン、もしもマッテイがワーグナーを歌うなら、その時は駆けつけたいと思います。
2015.12.03 Thursday 20:36 | - | trackbacks(0) | Opera | このエントリーを含むはてなブックマーク|

「トスカ」新国立劇場オペラ

どうやら今シーズンの新国オペラで一番売れてるらしい「トスカ」の千秋楽に行って来ました。なるほど、人気なわけだなと痛感した作品。まず演出がオーソドックスながらも重厚で美しい。そして主役3人の安定した歌唱。ここのオペラで3人ともバランスが取れてる歌唱ってけっこう珍しいんですよ。それがこの日は叶ってました。 トスカ役マリア・ホセ・シーリさんが公演期間中盤で倒れたと言うことでしたが、この日は最後まで完璧に歌い上げてくれました。彼女の声は高音でもピシッと決める所は決め、みんなが知ってる有名アリアもみんなが満足できる風に表現できる人だなぁという印象。イメージ的にスザンナ・フィリップが近いかもしれません。
カヴァラドッシ役ホルヘ・デ・レオンもスマートで正義感溢れる若き画家という雰囲気がピッタリ。声にも説得力があり、「星は光りぬ」の運命を嘆く歌唱にはこちらの胸まで痛くなるほど。
そしてスカルピアのフロンターレはさすがですね。圧倒的な存在感。ダースベイダーばりに魅力的な悪役をこなしていました。この方ひとりお芝居もずば抜けて上手い。
この3人の熱唱にそうような棒と音楽だったかと言うと、それはまた別のお話になってしまうのですが…。せっかくのプッチーニのメロドラマなのにどこか情緒に欠け、音の強弱でしかドラマを盛り上げられない、と感じてしまいました。

マリア・ホセ・シーリさんは来年4月に「アンドレア・シェニエ」でマッダレーナを歌いに再来日する予定です。こちらも見に行きたいなと思います。


2015/11/29(日)14:00
新国立劇場オペラパレス
3階 L1列
2015.12.02 Wednesday 20:38 | - | trackbacks(0) | Opera | このエントリーを含むはてなブックマーク|

「ラオスにいったい何があるというんですか? 」

昔から村上春樹さんの紀行文が大好きなので一気読み。過去にいくつかの異なる媒体に掲載された文章をまとめているので、各章の風合いの違いは多少あるものの、 以前の作品に比べると明らかに懐古調になっているのかも。昔住んでいた所を年月が経ってから訪れる感覚はすごく共感できるし、「こんなだったっけ?」と自分の記憶力自信がなくなる感じも人ごとではない。この前の紀行文は多分「遠い太鼓」だったと思うけど(違ったらごめんなさい)、当時に比べるとわたしもそこそこあちこちに出かけるようになりました。なので、本作で非常に共感できたのは「ダンキンドーナツ」「シベリウス」というワード。これは実感を持って深くうなずきながら読みました。最近は観劇や音楽が目的の旅ばかりだけど、トスカナのワインとお肉を食べたり、ポートランド(オレゴンでもメインでもどっちでも)でシーフード食べたりと、そんな感じの旅ができる日はわたしに訪れるのでしょうか。
2015.11.23 Monday 19:42 | - | trackbacks(0) | Books | このエントリーを含むはてなブックマーク|

マリア・ジョアン・ピリス アントニオ・メネセス デュオ・リサイタル2015

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ピリスさん、メネセスさんそれぞれ単独のリサイタルは毎年聴いて来ましたが、二人揃ってのデュオ・リサイタルは2013年のヤマハホール以来。今回のプログラムはベートーヴェンがメインということでとても楽しみにしていて、みなとみらいとすみだトリフォニーと同じプログラムを2回聴いて来ました。
 
とにかくピリスさんの32番はすごかった。神がかっているとはまさにこのこと。最初の強烈な一音から引き込まれ、「この小さな身体のどこからこんなすごい音が出るんだろう」とポカンとしたまま1楽章が終わり、とてもとても美しい入りの2楽章。途中のジャジーぽい箇所はペダリングの音がガンガン響く位の迫力で楽章内の緩急を付け、再び静かなエンディングを迎えます。最後の和音はわたしには教会の鐘の音に聴こえました。そして祈りを捧げるようなピリスさんの丸まった背中。観客の静寂。何もかもが完璧な一瞬でした。
 
メネセスさんのバッハは「あぁ、バッハの時代ってこんな音を聴いていたんだろうな」と思わせる重厚かつ柔らかな旋律。暖炉の火の暖かさを感じさせる優しいバッハでした。欲を言えば前回のような小さなホールでじっくり聴きたかったな。
お二人が揃ったピアノとチェロのためのソナタ2、3番は、シャープなピリスさんのピアノと包み込むような柔らかなのメネセスさんのチェロが呼応し合い、ものすごい一体感。最初の音の入り方からして、この二人の間だけに流れる空気感と呼吸というものが感じられます。主旋律が交代で現れるところもへんに譲り合ったり主張することなんてことがあるわけもなく、どこを切っても美しい旋律を堪能しました。演奏は聴いても聴いても飽きる事がなく、このまま終わらなければいいのになぁと、すっかり陶酔した頭でぼんやりと考えておりました。
 
ピアノとチェロのリサイタルは色々なペアで聴いて来ましたが、やはりしっくり来るのがこのお二人。長年に渡る息の合ったペアならではの演奏を心ゆくまで楽しみました。次回の来日公演も今から楽しみです。(できればヤマハホールとかで…)

【演目】
ベートーヴェン ピアノとチェロのためのソナタ 第2番 ト短調 Op.5-2
ベートーヴェン ピアノソナタ 第32番 ハ短調 Op.111
J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲 第2番 ニ短調 BWV1008
ベートーヴェン ピアノとチェロのためのソナタ 第3番 イ短調 Op.69

アンコール
J.S.バッハ パストラーレ ヘ短調 BWV590 (11/1 みなとみらい大ホール)
ショパン チェロソナタより第3楽章 Largo (11/7 すみだトリフォニーホール)

<追記>
1. すみだトリフォニーでのお客さんの集中力は素晴らしく、この季節には珍しく演奏中の咳は皆無で、楽章間でさえ他ホールに比べると少なかったと感じました。コンビニ袋や飴の包み紙ガサガサもなし!すごいな、みんな、やればできる。

2. 今回ご縁あってピリスさんに握手して頂いたのだけど、手の小ささに驚愕!そもそも小柄で(150cmちょっと位かしら)いらっしゃって、「この身体でどうしてあの音が…!?」と今さらながらしみじみ。マスター・ヨーダもおっしゃってるように「Size doesn't matter.」ですね。
2015.11.12 Thursday 16:11 | - | trackbacks(0) | Music | このエントリーを含むはてなブックマーク|

【ご報告】「アート好きによるアート好きのための図録放出会 Vol.4」

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11月3日に開催された「図録放出会」が無事に終了いたしました。12時のオープン時にはすでにたくさんの方にお越しいただき、クローズまでずっと賑わっていました。

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集まった図録は約930冊!ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。

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トークショーも大盛況。こちらはTakさんとデザイナー仲将晴さんの「図録ができるまで」。

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トーク第2弾はフジテレビの阿部知代さんとフクヘンさん。お宝図録や写真のお話など。楽しかったです。

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売上343,056円は本日11月4日、文化財保護・芸術研究助成財団へ振込みしました。ご協力いただいた皆様、誠にありがとうございました。
第5回の開催日程は未定ですが、Twitterなどで告知する予定です。また皆様にお会いできるのを楽しみにしております。

2015.11.04 Wednesday 19:49 | - | trackbacks(0) | Art | このエントリーを含むはてなブックマーク|

リッカルド・ムーティ+ケルビーニ管 来日決定

 
来年1月にシカゴ交響楽団との来日が決まっているマエストロ・ムーティですが、なんとその後すぐの3月に再来日が決まりました。かねてより若手育成に力を注いでいたムーティ様が2004年に設立したオーケストラ、ルイージ・ケルボーニ・ジョヴァンニ管弦楽団との共演です。舞台は東京・春・音楽祭のオープニング公演。春祭と区別オーケストラとケルビーニ管との混合オケでの演奏だそうです。ケルビーニ管は初来日、ムーティ様に鍛えられたユースオケということで期待が高まりますね。ちなみに団員はオーディションで選ばれ、EU国籍の18~27歳の音大卒業者となっており、年々競争率も高まっているとのことです。
今回東京で演奏されるのは以下の演目です。

ヴェルディ:
 歌劇 《ナブッコ》 序曲 
 歌劇 《ナブッコ》 第1幕 より 「祭りの晴着がもみくちゃに」 
 歌劇 《アッティラ》 第1幕 より アッティラのアリアとカバレッタ
             
「ローマの前で私の魂が......あの境界の向こうで」 
 歌劇 《マクベス》 第3幕 より 舞曲 
 歌劇 《運命の力》 序曲 
 歌劇 《第一回十字軍のロンバルディア人》 第3幕 より「エルサレムへ、エルサレムへ」 

ボイト:歌劇 《メフィストフェレ》 プロローグ

■日時・会場

2016.3.16 [水] 19:00開演 東京文化会館
2016.3.17 [木] 19:00開演 東京芸術劇場
 
チケットの一般発売は11/23、先行予約受付は11/8、もうすぐですね。がんばります。
2015.11.01 Sunday 00:00 | - | trackbacks(0) | Music | このエントリーを含むはてなブックマーク|

「アート好きによるアート好きのための図録放出会 Vol.4」

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第4回目となった「アート好きによるアート好きのための図録放出会」が11/3(火・祝)に開催されます。もう読まなくなって部屋の隅に積んであるだけの図録はありませんか?そんな図録を持ち寄って、欲しい人に買い上げてもらい、売り上げは東北の被災文化財の修復資金に活用するというチャリティイベントです。

日時:11月3日(火・祝)12:00~18:00
   (持ち込み図録の受付 12:00~14:00)
会場:BoConcept 南青山店 港区南青山2-31-8 
   東京メトロ銀座線外苑前駅 1a出口より徒歩4分

ご提供いただける図録の事前宅配も受け付けております。以下のアドレスに「図録提供希望」と明記の上、メールでご連絡下さい。折り返し詳細をお伝えします。

artcircle2012@gmail.com

当日はご提供いただいた図録を500円または1,000円で販売します。その他にもアートファンにはおなじみのフクヘン(@fukuhen)さん×フジテレビの阿部知代(@abechiyo_Ho)さん、ブログ「青い日記帳」管理人Tak(@taktwi)さんによるトークショー2本、イラストレーター植田工(@onototo)さんが「付箋アートであなたを描いてくれる」権のオークションなどのイベントを予定しております。
詳細は図録放出会専用アカウントをご参照下さい。→ @artcircle_info

今のところ、11/3 文化の日の天気予報は晴れ、お散歩やお買い物がてらにふらりと立ち寄って頂ければうれしいです。わたしもお手伝いで参加する予定です。
皆さまのお越しをお待ちしております。

*図録持ち帰り用にエコバッグなどお持ち下さいね!

*売上げは「公益財団法人 文化保護・芸術助成財団」を通じ、震災で被災した美術品・文化財の修復に当てられます。



2015.10.28 Wednesday 19:33 | - | trackbacks(0) | Art | このエントリーを含むはてなブックマーク|

NHK交響楽団 パーヴォ・ヤルヴィ首席指揮者就任記念 マーラー 交響曲第2番

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9月にN響首席指揮者に就任したパーヴォ・ヤルヴィさんの就任記念演奏会の演目はマーラー「復活」でした。壇上に姿を現した瞬間から大きな拍手に迎えられ、お客さんの期待の大きさがわかります。慣れ親しんだN響の演奏ですが、時々ものすごく化ける時があって(2011年のメータ指揮震災復興第九とか)この日もそんな演奏のひとつでした。
ややゆったりとした、様子を窺うかのように始まった第1楽章からあっという間の80分。その間に体験したのは巧妙に張られた伏線を読み解く楽しさと、熱さの中にもどこか知性を感じさせるパーヴォさんの統制ぶり。特に声が加わった時のホールに広がる立体感が素晴らしかったです。超弱音で始まるためソリストも合唱も座ったままで発声するのですが、これが非常に効果的で、まさに天界との扉を少しずつ開いているかの様。ここに弦が加わった時にぱーっと目の前に色彩が広がるのが感じられました。
バンダは2階後方から参加。(2階ロビーに指揮台を映しているモニターがあったのはそのためだったのですね)最初は舞台袖からかなと思いましたが、Twitterでの証言で確認。悪評高いホールですが、大きくて響きすぎる箱をうまく利用していたと思います。
N響の演奏も精度が高いのはもちろんですが、この日の演奏は3階で聴いていても音圧が感じられる迫力がありました。特に金管隊が素晴らしく歌っていたと思います。すべてのパートと合唱とソリストがひとつの光景を作り出していた素晴らしい瞬間でした。
パーヴォさんの任期は3年間とのことですが、できるだけ足を運ぼうと思います。

画像は物販コーナーにあった立て看板。そのうちサインが入るんじゃないかな。
2015.10.04 Sunday 16:19 | - | trackbacks(0) | Music | このエントリーを含むはてなブックマーク|

SHUNGA 春画展

話題の春画展を見に永青文庫に行って来ました。2013年に大英博物館で開催され大評判となった展覧会を日本で開催するには数々のハードルがあったとかで、結局この会場に落ち着いたわけですが、かえって「行って来たよ!」感が味わえて良かったと思います。
130点ほどの春画を次から次へと見ていると「アートかポルノか」なんてどうでも良くなってくることは確か。露骨に誇張された交接部ばかりで飽きて来そうになったので、視点を変えて構図、着物、背景なんかに目を向けるとだんだん楽しくなって来ました。
営みそのものの表現はワンパターンなんですよね。それは多分ほとんど同じに見える表情のせいだと思う。だからお歯黒の女性のアップの絵は抜きん出て印象に残りました。
それとやはり北斎のあの有名な蛸の絵の迫力は凄い。この二点を見るだけでも来た甲斐ありました。

春画にはBLもちゃんとありまして、これがまた線も構図も人物も綺麗で、そのあたり現代の同人に通じているなぁと思ったり。この時代にも需要があったんですね。
他にも大人のオモチャを描いたものや、大きな屏風に武士との絡みを描いたもの(仕掛けがしてあって、めくると交接部が見られるようになってる。お武家さん宅の寝室に飾られてたらしい)など、色んな意味であの時代の風俗がわかる展示となっていました。
春画を倉に入れておくと火事を免れると言う言い伝えもあったそうで、大きな庄屋さんはこぞって絵師に春画を描かせたとか、エピソード的にも面白い物が多かったです。

この展覧会をニュースで報じた時に「春画だけどいやらしくなんかなくて良かった」とおっしゃってた方がいましたが、わたしは充分いやらしいと思いましたよ。いやらしさあっての春画です。当時の人達はみんなで集まって春画を見ながら大笑いして盛り上がったそうです。「涅槃図」なんか「しょうがないなー。でもすごいな!」と純粋に呆れました。「アートかポルノか」など分析せずに、当時の人気絵師達が表現したあっけらかんとしたいやらしさ(中には北斎みたいにネチっこいのもあるけど)を時を経て、おそらく同じ東京という地で楽しむ、ということでいいんだと思います。

     
雨の夕方の永青文庫。初めて行ったけど風情のある建物。細川護煕さんありがとう。
2015.10.02 Friday 20:31 | - | trackbacks(0) | Art | このエントリーを含むはてなブックマーク|

英国ロイヤル・オペラ「ドン・ジョヴァンニ」

ザルツブルクから帰国後、一本目のオペラは英国ロイヤルオペラの来日公演「ドン・ジョヴァンニ」でした。この演目は今年の3月にMETでマッテイ&ピサローニという個人的黄金コンビを見ていたので、ハードルがをかなり上げてしまっていたのですが、それを抜きにしても複雑な思いが残りました。

舞台は最近流行のドールハウス風のセット(ROHはキューブ状セットを組んでおり、かなり簡素)にこれまた流行のプロジェクション・マッピングを組み合わせると言うもの。
オープニングの映像はDGが関係を持ったと思われる女性の名前を延々と映し出す、というのはユニークでいいと思ったのだけど、基本これだけでした。この投影の繰り返し。東京で見る凝ったプロジェクション・マッピングに慣れていると、かなり物足りなく感じました。必要以上にカラフルにする必要はないのだけど、モノトーンでワンパターンな印象です。しかし「シャンパンアリア」でのグルグル回す映像は効果的。わたしは軽く三半規管をやられた感覚に陥りましたが、曲の内容からしてこれは成功だったのかも。

タイトルロールのダルカンジェロ、他の演目でも見ていたしDGも映像ではさんざん聴いていたけど、さすがにこれははまり役。ハンサムでセクシーなイタリア男という点では、現在右に出る人はいないのでは。METのマッテイもかなりいいセン行ってたけど、イタリア人が演じるDGというのはやはり重みが違いますね。
レポレッロ役のエスポージトは初めて聴きましたが、お芝居も歌も「これぞレポレッロ!ただしROHでね」という感想。侍従としての雰囲気は充分ですが、わたしはレポレッロはDGとそこそこ対等な雰囲気を持つ歌手の方がやっぱり好み。タイプが全然違うので比べるべきではないけれど、やはりピサローニさんのレポレッロが見たいなぁ…としみじみしてしまいました。

ドンナ・エルヴィーラ役のディドナートさん。この公演は正直彼女目当てに買いました。彼女ならきっと面白いエルヴィーラを見せてくれるはず!と。しかしこの演出のエルヴィーラは自分を捨てた男に必死に追いすがるさみしい女性という設定でした。なので、ディドナートさんのキャラがイマイチ生かされてない感は否めず。ひたすら真面目にDGを恨みながらも思い続ける、という雰囲気にちょっと違和感がありました。それでも歌唱はさすが。あの響きの悪いホールでもがんばって聴かせてくれました。

ドン・オッターヴィオ役のヴィヤソン、4年前のMET来日公演で聴いた以来なんですが、残念な感じでしたね。あのアリアもいっぱいいっぱいで、聴いているこっちがハラハラしました。仕方がないにしてもちょっとさみしい。

パッパーノの指揮について少々。序曲はハエが止まるんじゃないかと思う程のゆっくりしたテンポでびっくり。その後はあまり気にならなくなりました。アリアになるとまたかなりテンポを落としたのは、これはじっくりと歌わせ、聴かせるためだと思います。歌手もかなり丁寧に表現していました。ROHオケは素晴らしいですね。弦は特に豊潤。土曜の演奏会が楽しみです。

演出そのものは悪くないと思いますが、最後のひとり残されしょんぼりしたDGは見たくなかったな。今回はラストをいわゆる「ウィーン再演版」(地獄落ちの後、6人が出て来るが最初が省かれている)を使っていました。わたしが今まで鑑賞していたのはノーカットで全員が歌うバージョンだったので、「あれ?」と肩すかしを喰らった感じ。それも6人が両サイドからDGを糾弾するように「これが悪人の最後」と歌います。けっこう好きな最後のシーン(レポレッロが「仕事探さなきゃ」とかエルヴィーラが「修道院にでも行くわ」と今後のプランを歌う所)が飛ばされてしまったのでちょっと消化不良…。耳慣れた版と違うってこんなに違和感を感じるものなのね。刷り込みって怖いわーと思った夜でした。

NHKホール
9/13/2015 15:00~
3階 R1列 
2015.09.18 Friday 12:53 | - | trackbacks(0) | Opera | このエントリーを含むはてなブックマーク|
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